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「ない」は難しかった

 

ない、というのは難しい。悪魔の証明と言われる。しかし、検問で飲酒運転では無いと証明するには、呼気を調べてもらえばいいだけである。つまり、「〜ないことの証明」はつねに悪魔の証明というわけではない。

 

さて、英語の参考書などで、以下のような英文を和訳させるような問題を覚えている人がいるかもしれない。

 

[1]  Do not drink and drive.

 

[2] He doesn't drink or drive

 

この問題*1は、do not が修飾している部分がどこまでなのかを聞いているのだろう。

 

ベン図を書いてみよう、

 

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[1]  Do not drink and drive. の例文では、「飲酒かつ運転」するのを否定している。

つまりベン図の真ん中の部分を否定しているのだ。ベン図で描かれている集合の一部分だけを否定している。

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一方、[2] He doesn't drink or drive. の例文ではベン図で描かれている集合のすべてを否定している。

 

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当たり前だが、飲酒も運転も否定しているので、飲酒運転もダメである。コーヒーも牛乳も飲めないひとがコーヒー牛乳を飲むことはないのと同じである。

 

ということで、英文を訳すと、

 

 

[1]  Do not drink and drive.

飲酒運転をするな

 

[2] He doesn't drink or drive

彼は、お酒も飲まないし、運転もしない。

 

となる。or や and が作る英文に否定が入ると少しややこしくなる。

 

なんでこんな事を記事に書いたかというと、以下のような英文を見たからである。

 

 

... the steady state of the system does not depend on whether the updating of all agents is performed synchronously, or in a random asynchronous fashion. 

Gleeson, J. P., & Cahalane, D. J. (2007). Phys.l Rev. E, 75, 056103. 

 

  

(訳)システムの定常状態(のあり方)はエージェントの(状態)の更新が同期的に行われるのか、非同期的に行われるのかに依存しない。

 

 もちろん、この英文では whether A or B が名詞節を作っていて depend on の目的語になっているのでさっきいったような例文とは直接的に対応していない。だが、結局のところ論理関係は同じで、同期的な更新(の場合)に依存しているわけでもなく、非同期的な更新(の場合)に依存しているわけでもない。ということをこの英文は言っている。

 

 

とはいえ、誤解を招かないように、論文では明確に書くことが多いだろう。上の英文でも、そうだし、丁寧に or の後ろにカマを打って等位接続詞がなにを結んでいるかを示している。 

 

 

 

*1:自分で適当に作った問題で、なにかの本から取ってきたものではない。しかし、簡単な英文なのでなにかの本には載っていると思う。