折りたたみを展開する

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パスカルの三角行列は下三角行列だった

線形代数の復習のために、ストラング線形台数という本を読んでいる。MITの名物講義ということで、Open Course として講義ビデオやノートと資料も公開されている。日本の線形代数の教科書とは違い、例が豊富なのが特徴。

 

ocw.mit.edu

 

世界標準MIT教科書 ストラング:線形代数イントロダクション

世界標準MIT教科書 ストラング:線形代数イントロダクション

 

 

 

 

Introduction to Linear Algebra

Introduction to Linear Algebra

 

 

つらつら読んでいると、パスカルの三角行列というものが紹介されていた。まず、パスカルの三角形とは、ご存知、二項係数を並べたものである(wikiパスカルの三角形 - WikipediaPascal's triangle - Wikipedia )。パスカルが最初に見つけたんじゃないとか、なんとかそういう逸話もあるみたい。そのパスカルの三角形が行列に入っているのだ。

 

教科書ではパスカルの三角行列とは、以下のような正方の下三角行列だと説明されている。*1

\[ A=\left[\begin{array}{ccccc} 1\\ 1 & 1\\ 1 & 2 & 1\\ 1 & 3 & 3 & 1\\ 1 & 4 & 6 & 4 & 1 \end{array}\right],\ x=\left[\begin{array}{c} 1\\ x\\ x^{2}\\ x^{3}\\ x^{4} \end{array}\right] \]

\(Ax\)を計算することで\(i\)行に\((1+x)^{i}\)を展開したものを得ることができる。

\[ Ax=\left[\begin{array}{c} 1\\ 1+x\\ 1+2x+x^{2}\\ 1+3x+3x^{2}+x^{3}\\ 1+4x+6x^{2}+4x^{3}+x^{4} \end{array}\right] \]

教科書では、ここらへんで記述が終わっていた。もう少し一般化出来ないだろうか。つまり、各\(i\)行に

\[ (x+y)^{i}=\sum_{k=1}^{i}\left(\begin{array}{c} i\\ k \end{array}\right)x^{k}y^{i-k} \]

が入っている、みたいな記述。因みに、 \(\left(\begin{array}{c} n\\ k \end{array}\right)\) は、\(nCk\)という意味。後者は日本を含む少数派の表記らしい。

行列操作をすると、以下のような計算が成り立つ、

\[\begin{eqnarray*} A^{1}x & = & \left[\begin{array}{c} (x+1)^{0}\\ (x+1)^{1}\\ (x+1)^{2}\\ (x+1)^{3}\\ (x+1)^{4} \end{array}\right]\\ A^{2}x & = & \left[\begin{array}{c} (x+2)^{0}\\ (x+2)^{1}\\ (x+2)^{2}\\ (x+2)^{3}\\ (x+2)^{4} \end{array}\right] \end{eqnarray*}\]

つまり、\(Ax\)\(A\)を左側からかけることは、各i行目の\(x\)を1つ増やすことを意味するので、\((x+1)^i\)が、\((x+2)^i\)なる。

 

なので、各i行を、\((x+y)^i\)とするには、

\[ A^{y}x=\left[\begin{array}{c} (x+y)^{0}\\ (x+y)^{1}\\ (x+y)^{2}\\ (x+y)^{3}\\ (x+y)^{4} \end{array}\right] \]

 

とすればよい。なんとも不思議な行列だった。さて、ここまで何回パスカルと言ったでしょうか?答えは、15。

*1:以下では、行番号は0から始まるものとする。